eコマースサイト運営者にとって、SEO対策は重要な施策の一つです。特にキーワード検索はSEO対策の最初のステップであり、キーワード検索の結果を元に戦略的にキーワードを利用することで、多くの消費者に商品をアピールできるだけでなく、売り上げアップにもつながる可能性があります。
この記事では、キーワード検索とは何かや基礎知識、キーワード検索が重要な理由を解説します。キーワード検索の方法や検索ツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトのキーワード検索とは?

ECサイトのキーワード検索とは、消費者がネット上で商品を探す際に使用する言葉や単語の組み合わせ(検索クエリ)を特定し、分析することです。
ターゲット層が使用する関連性の高いキーワードを見つけ出すことで、商品ページやカテゴリーページ、ブログ記事などのコンテンツに反映でき、キーワードによるECサイトのSEO対策が行えます。
ECサイトのキーワード検索が重要な理由

需要の調査ができる
キーワード検索を行うことで、市場需要の変化やトレンドを知ることができます。検索数が上昇しているキーワードがわかれば、人気が出ることが予測されるアイテムや業界、ニーズがわかるため、商品ラインの拡張や売れる商品アイデアを探すのに役立てられます。
また、自社で取り扱う商品に関連するキーワードの検索数が急増した場合、市場においての需要が高まっていると判断できます。
視認性を高められる
キーワード検索により適切に選定されたキーワードを活用することで、商品やブランドの視認性を高めることが可能です。ターゲット層が使用しているキーワードを商品タイトルや商品説明、タイトルタグ、メタディスクリプションへと入れることで、検索結果の上位に表示される可能性が高まります。
さらに、タイトルやメタディスクリプションに適切なキーワードが含まれていることで、検索結果を見た消費者にページをクリックしてもらいやすくなります。
コンテンツ戦略の指針になる
キーワード検索はコンテンツマーケティング戦略においても重要です。ターゲット層が使用するキーワードに関連するコンテンツを提供し、顧客が抱える悩みや疑問、ニーズに応えることで、自社サイトやブログへと誘導できるだけでなく、ECサイトやブランドに対して好印象を抱いてもらえます。信頼関係を築くことにもつながるため、気になる商品が見つかった場合に安心して購入してもらえるようになるでしょう。
購買意欲の高い消費者をストアに誘導できる
購買意欲の高い消費者が商品を検索する際に使用するキーワードや検索クエリを使えば、効率的にECサイトに誘導できます。
このとき気をつけたいのが、検索キーワードを使用する人の中には、消費者だけでなく競合分析を行う企業や、興味本位で単語を調べる個人などもいるという点です。売り上げやコンバージョンを高めるためには、購買意欲の高い消費者が使用しやすいキーワードや単語を知り、活用することが重要となります。
例えば、「スマホケース 便利」といった単語で探している場合は、単にスマホケースの下見をしている可能性が高いです。一方で、「ケース iPhone 防水」のように具体的な機種名と必要な機能がキーワードに含まれている場合は、使用することを前提として検索している、購入意欲が高い消費者である可能性が高いと言えるでしょう。
さらに、キーワード検索を基にわかりやすいキャッチコピーを使ったり、よくある質問に対する回答や消費者の不安を解消できる説明文を用意したりしておくことで、商品ページのコンバージョン改善にも役立ちます。
高い費用対効果が期待できる
適切なキーワード検索を行い、活用することで、有料広告のように表示やクリックによる費用が発生しないオーガニックトラフィックが増えるため、高い費用対効果が期待できます。
キーワード対策を行わずに有料広告のみでの集客を行うと、長期的なコストが必要となるだけでなく、広告を止めるとユーザーからのアクセスが途絶えてしまうなど、有料広告なしでは売上向上が難しい状況を作り出す危険性があります。一方で、キーワード検索によるオーガニックトラフィックを増やすことができれば、広告コストを抑えて売り上げにつなげられるだけでなく、検索上位に表示されやすくなることからブランドの認知度の向上にもなるでしょう。
ECサイトのキーワード検索の基礎知識

キーワード検索において、知っておくべき用語とその意味、役割を理解しておく必要があります。SEO対策においても重要となる知識です。
検索意図
検索意図とは、ユーザーが検索をする際の目的や理由のことです。ユーザーインテントとも呼ばれ、検索者の意図を汲むことで、よりニーズに合ったコンテンツを作成できるようになります。
検索意図は主に以下の4つに分類できます。
- 案内型クエリ(ナビゲーションクエリ):検索者が特定のウェブサイトを探している場合に使用されるクエリのことです。具体的な社名やウェブサイト名が該当します。
- 情報型クエリ(インフォメーションクエリ):検索者が、何かを知りたかったり何かをしたりしたい場合のクエリです。「じゃがいも レシピ」や「SEO 効果」などが考えられます。
- 取引型クエリ(トランザクショナルクエリ):検索者が何か行動を起こしたい場合のクエリで、「車の買い取り 見積もり」や「サブスク 無料体験」などがあります。
- 購入型クエリ(コマーシャルクエリ):検索者が何かを購入したい場合のクエリです。「ワイヤレスイヤホン ベスト10」や「スマホ 翌日配送」など具体的な商品名や購入の際の条件などが該当します。
ロングテールキーワード
ロングテールキーワードとは、複数の単語の組み合わせで構成されるキーワードのことです。「スモールキーワード」や「ニッチキーワード」とも呼ばれ、検索ボリュームが比較的小さく、競合も少なくなる傾向にあります。ロングテールキーワードは、検索上位に表示させる難易度が比較的低く、コンバージョン率が上がりやすいのが特徴です。
例えば、「エクステ」を検索している人は、情報収集の初期段階にいると考えられます。一方、「10cm ブラウン エクステ 価格」と検索している人は、セールスファネルにおいて最下部の商品を購入する見込みのある顧客であると考えられます。
ショートテールキーワード
ショートテールキーワードとは、主に1つまたは2つの単語の組み合わせで構成される短いキーワードのことです。一般に検索数が多いことから競争率が高いという傾向にあります。「SEO」や「家具」、「サブスク」のように分野やカテゴリーなどを表す単語が使用され、検索上位には大手企業が表示される傾向にあります。しかし、ショートテールキーワードで検索上位に表示されるようになれば、オーガニックトラフィックが増え、知名度拡大にも役立ちます。
検索ボリューム(月間平均検索数)
検索ボリュームとは、検索エンジン上でのキーワードの月間平均検索数です。特定の検索クエリやキーワードに対する月ごとの検索の合計数を表し、検索ボリュームの変化がトレンドや競合の多さを知る指標の一つとなります。検索ボリュームは、月間平均検索数により以下の3つに大別できます。
- ビッグキーワード:10,000回以上
- ミドルキーワード:1,000~10,000回程度
- スモールキーワード:100~1,000回程度
ビッグキーワードで上位に表示できるようになれば、多くのトラフィックを獲得することになり、認知度向上や売り上げアップが目指しやすくなると言えます。一方で、ビッグキーワードで検索上位を獲得するのは難易度が高いため、ミドルキーワードで検索上位を狙うケースが一般的と言えるでしょう。ニッチ市場を狙っている場合には、スモールキーワードでの検索上位を狙う方が効率的である可能性もあります。
キーワード難易度
キーワード難易度とは、特定のキーワードにおいて検索上位に表示させるための難易度を表す指標です。難易度は検索ボリュームや検索結果数、競合サイト数や競合サイトの評価の高さのほか、被リンク(バックリンク)数、ドメインオーソリティなどさまざまな要素によって決められます。ただし、使用するキーワード検索ツールやSEOツールによって難易度の計算方法が異なることから、絶対的な数値ではないことに注意が必要です。
ECサイトのキーワード検索方法

1. 適したキーワードを洗い出す
適したキーワードを洗い出すために、まず商品やカテゴリーに関連するキーワードリストを作成します。最初は思いつく単語をリストアップすることから開始し、検索エンジンで探してみたり、競合他社のサイトで使用されている単語を参考にしたりすることもできるでしょう。
2. 関連キーワードをリストアップする
中心となるキーワードのリストができたら、次は関連するキーワードを見つけてリストアップします。Google(グーグル)の検索窓にキーワードを入れると、自動でGoogleサジェストから関連キーワードが表示されます。このとき、SEOツールやキーワード検索ツールを活用すると、より効率的に関連キーワードのリストアップができます。
3. キーワードに優先順位をつける
キーワードのリストアップが完了したら、優先順位をつけていきましょう。この際に目安となる要素は以下の通りです。
- 関連性:リストアップしたキーワードのうち、販売している商品やカテゴリー、自社の強みと関連の強いものを重要視します。
- 検索意図:売り上げを伸ばしたい場合には、購入型クエリとなるキーワードの優先順位が高くなるでしょう。まずは信頼関係を築きたい場合には、案内型クエリが優先となります。
- 検索ボリュームとキーワード難易度:十分な検索ボリュームがあり、キーワード難易度が高すぎないキーワードを戦略的に使用することで、コンバージョン率アップが目指せるでしょう。SEOツールやキーワード検索ツールを使用して検索ボリュームとキーワード難易度を調べ、バランスを考えて優先順位をつけるのがポイントです。
4. キーワードマップを作成する
キーワードに関連する単語を、マインドマップのように配置して視覚的に見やすくしたものをキーワードマップと言います。これにより検索意図が似ているキーワードをまとめたり、コンテンツの重複を避けたりすることが可能となります。キーワードの取りこぼしや、類似記事作成によるユーザー分散を避ける効果も得られます。
キーワードマップ作成には以下のようなツールが活用できます。
- Keywordmap(キーワードマップ)
- KEYWORD FINDER(キーワードファインダー)
- xmind(エックスマインド)
- MindMeister(マインドマイスター)
5. コンテンツカレンダーを作成する
キーワードを元に、作成する必要のあるコンテンツを洗い出し、コンテンツカレンダーにまとめます。必要となるコンテンツのタイトルや文量、使用すべきキーワードをまとめるだけでなく、以下のように詳細まで記載していきます。
- 公開日:コンテンツを公開する日
- チャネル:公開するチャネル(ブログ、サイト、SNSなど)
- コンテンツ形式:作成するコンテンツの種類(ブログ記事、商品ページ、よくある質問、動画など)
- タイトルやメインテーマ:コンテンツのタイトルやメインテーマ、仮タイトルなど
- ターゲット:コンテンツの対象者
- ステータス:進捗状況(計画中、進行中、レビュー、公開済み、要修正など)
- キーワード:ターゲットとするキーワードや検索クエリ
- 目的:ユーザーに期待する行動(商品購入、ニュースレター講読、サイトへのアクセスなど)
ブラックフライデーやクリスマス商戦など売り上げにつながる年間イベントについても忘れずに記載しましょう。
6. キーワードリストを定期的に更新する
キーワード検索を定期的に行い、キーワードリストを更新し続けることも重要です。現時点でのキーワードリストが見込み客のニーズに合っていたとしても、トレンドや情勢変化により興味関心が移り変わることは珍しくありません。定期的にキーワードリストを見直し、パフォーマンスデータを分析することで、より効率的なSEO対策が可能となるでしょう。Google Search Console(グーグルサーチコンソール)やGoogleアナリティクスといったツールを活用すると、キーワードのランキングをモニタリングすることが可能です。新たなキーワードの発見にもつながるため、ツールを活用してキーワードリストを更新・改善していきましょう。
キーワード検索に活用できるツール

Ahrefs(エイチレフス)
SEO分析ツールのAhrefsは、キーワード検索だけでなく被リンク数の計測やページランクなど、幅広いデータを取得・分析できるため、SEO対策全般に活用できます。キーワード検索では競争率の低いキーワードを発見できたり、キーワード候補を提案してくれたりします。キーワード難易度もスコア化してくれるため、キーワード選定の参考にできるでしょう。
Semrush(セムラッシュ)
Semrushのキーワード分析は、検索ボリュームや競合レベルだけでなく、キーワードのクリック単価(CPC)などのデータを得ることが可能です。検索ボリュームやキーワード難易度の確認、検索意図との整合性や競合状況といった情報も取得できます。マーケティングツールとしてさまざまな機能を備えているため、ドメイン分析やバックリンク分析、トラッキングサイト診断なども可能です。
Googleキーワードプランナー
Google広告のサービスの一つであるGoogleキーワードプランナーは、アカウント登録・ログインをすることで月間検索ボリュームや検索の推移、競合性などを調べることが可能です。関連キーワードを一覧でダウンロードすることも可能で、コンテンツ制作やSEO対策に活用できるだけでなく、そのまま広告を運用することもできます。
Googleトレンド
GoogleトレンドはGoogleが提供する無料ツールです。特定のキーワードの検索結果をリアルタイムで分析できるだけでなく、人気のキーワードをグラフで確認することが可能です。需要が高まっている商品を調べるのに役立つだけでなく、関連する話題やキーワードを調べることもできます。そのため、ECサイトで新たに取り扱う商品を探している場合や、ヒット商品予測にも役立ちます。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、キーワード調査に特化したツールで、GoogleやBing(ビング)、YouTube(ユーチューブ)などにおけるサジェストや関連キーワードを検索できます。検索できる回数に限りがあるものの無料で使用でき、検索順位チェックやAIによる記事タイトル生成機能も活用できます。
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
Ubersuggestは、検索ボリュームや検索需要推移、サジェストキーワードを調べることができるツールです。ログインせずに使うことも可能ですが、無料ログインすることでより多くの機能を使えるようになります。キーワード難易度やCPC、競合の流入キーワードについてのデータ取得のほか、自社サイトのURLを登録して検索順位追跡やサイト改善点を見つけることも可能です。
まとめ
ECサイトにおけるキーワード検索とは、消費者がネット上で商品を探す際に使用する言葉や単語の組み合わせを特定し、分析することです。多くの消費者にサイトを訪問してもらったり、商品の購入を促したりするためには、まずターゲット層が検索時に使用するキーワードを見つけ出すことが重要となります。
さらに、商品リサーチの際にもキーワード検索は役立ちます。今話題となっている商品や人気のアイテムは、ツール上で人気急上昇ワードとして表示されたり、検索数が増えたりする傾向にあります。
ShopifyのSEO対策においても、キーワード検索や適切なキーワードの使用は重要です。競合が少なく、かつ十分な検索ボリュームのあるキーワードを使うことで効率よく検索上位を狙えるだけでなく、購買意欲の高い消費者を自社ECサイトに誘導できるようになるでしょう。
キーワード検索は定期的に行いキーワードリストを改善していくことで、市場の動向やトレンドに合わせた、より効果の高いSEO対策が行えます。今回紹介した無料のキーワードツールなども使用しながらSEO戦略を実行し、売上向上を目指しましょう。
ECサイトのキーワード検索に関するよくある質問
検索キーワードの調べ方は?
- 適したキーワードを洗い出す
- 関連キーワードをリストアップする
- キーワードに優先順位をつける
- キーワードマップを作成する
- コンテンツカレンダーを作成する
- キーワードリストを定期的に更新する
キーワード検索を通して順位を上げるには?
キーワード検索を通して検索順位を上げるには、検索意図などが適切なキーワードを選定し、タイトルタグやメタディスクリプションに含まめます。検索上位を狙いやすいミドルキーワードを使用したり、大手企業や公的機関などの競合サイトがいないキーワードを使ったりするのも有効です。
キーワード検索はSEOにおいてなぜ重要?
キーワード検索を行うと、ターゲットにすべきキーワードを見つけることができ、効率的にGoogleにストアの内容を伝えられるため、検索上位を獲得しやすくなりサイトの視認性が高まります。
キーワード検索に活用できるツールは?
- Ahrefs(エイチレフス)
- Semrush(セムラッシュ)
- Googleキーワードプランナー
- Googleトレンド
- ラッコキーワード
- Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
キーワード検索数の調べ方は?
GoogleキーワードプランナーやKeywordmap、Ubersuggestなどのツールを使ってキーワード検索数を調査できます。
文:Masumi Murakami





