競合キーワードの分析は、SEO戦略を立てるうえで欠かせないステップです。ユーザーの検索意図を把握し、市場のニーズを踏まえてネットショップやコンテンツを最適化できれば、コンバージョン率向上やネットショップの集客力の強化につながります。
しかし、競合キーワードの分析の進め方がわからなかったり、さまざまな競合分析ツールの中からどれを使うべきか迷い、うまく分析できていないケースもあるかもしれません。
この記事では、競合キーワード分析の概要やメリットを解説しています。競合分析ツールの機能や選び方に加えて、主要な競合分析ツールや分析方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
競合キーワード分析とは

競合キーワード分析とは、競合他社が上位表示を狙っているキーワードを特定し、その情報を自社のSEO戦略に役立てるプロセスです。競合他社の成功要因を分析することで、競合の強みや弱みが把握できるだけでなく、自社の改善点や差別化要因を明確にできます。競合キーワード分析は、データに基づいた質の高いコンテンツを制作するうえで欠かせない要素といえるでしょう。
競合キーワード分析のメリット

ユーザーのニーズを把握できる
競合他社の流入キーワードを分析することで、ターゲット市場やターゲット層のニーズを把握できます。また、特定のキーワードで上位表示されている競合コンテンツの構成(タイトル・見出しなど)も分析することで、ユーザーの検索意図をどう反映しているのかも把握でき、自社のコンテンツ設計に活かすことができます。
自社サイトに足りない情報を確認できる
競合キーワードの分析は、自社サイトに足りない情報を見つける手がかりにもなります。検索需要があるにもかかわらず自社では未対応だったキーワードを特定し補完できれば、検索エンジンからの評価向上が期待できます。また、上位表示されるコンテンツの特徴の一つに、情報の網羅性が挙げられます。競合分析をすることで、内容を深掘りするための関連トピックや補足情報を洗い出すことができます。
差別化要因を特定できる
競合キーワード分析は、まだ市場で十分に対応されていないキーワードの特定にも効果的です。競合が使用しているキーワードを分析することで、どのような切り口で訴求しているかを把握できます。競合と比べて自社が優位な領域を特定し、その強みを訴求ポイントとしてコンテンツに含めることができれば、上位表示を狙えるだけでなく、市場での独自のポジションを築くことができるでしょう。
競合分析ツールの主な機能

競合キーワード分析は、無料SEOツールやキーワード調査ツールの活用がおすすめです。より効率的に競合キーワードを見つけることができます。競合分析ツールの主な機能は以下のとおりです。
- 流入キーワードの特定:競合サイトが「どの検索キーワードで」「どの順位に表示され」「どれくらいのアクセス数を集めているか」を定量的に分析できます。
- 被リンクの情報収集:競合サイトが獲得した被リンクの数や被リンク元を分析できます。
- アクセス状況の特定:月間訪問者数、ページビュー数、平均滞在時間、直帰率など、基本的なアクセス指標を推計値で把握できます。
- 流入チャネルの分析:検索エンジン、SNS、広告、被リンクなど、ユーザーが競合サイトにたどり着くまでの経路を確認できます。
- 広告の分析:リスティング広告のキーワードや広告文、ディスプレイ広告のクリエイティブ(デザインやキャッチコピー)を調査できます。
- 競合のSNS分析:フォロワー数の推移、エンゲージメント率(いいね・コメント数など)、人気の投稿、ハッシュタグを確認できます。
- ユーザー属性の分析:競合サイトやSNSにおけるユーザーの性別・年齢・地域などの情報を収集できます。
競合分析ツールの選び方

調査・分析したい情報を入手できるか
競合分析ツールによって算出できる情報は異なるため、まずはツールを用いる目的を明確にしたうえで、目的を達成するための情報を入手できるかを確認しましょう。さらに、活用したい機能が搭載されているかどうかだけでなく、同じ機能でも各ツールでどれだけ精度に差があるのかも事前に調査しておくといいでしょう。
費用対効果が高いか
競合分析ツールの費用や、ツール導入によって得られるリターンを踏まえて費用対効果が高いツールを選びましょう。有料ツールの場合は以下のように、さまざまな料金体系が設けられています。
- 月額プラン
- 年額固定プラン
- 従量課金プラン
- 初期費用が必要なプラン
Google Analytics(グーグルアナリティクス)をはじめとして、競合分析ツールの中には無料で利用できるものも多数あります。無料ツールで自社がほしい情報が入手できるかも確認しておくといいでしょう。
データが出力しやすく見やすいか
競合サイトの情報をどのような形で出力できるのかも確認しましょう。競合分析ツールによっては、PDFやPowerPoint、Excelなどさまざまな形式で出力でき、すぐに活用できるものもあります。またグラフやチャートでの表示機能があれば、収集したデータを直感的に捉えることができ、改善点や課題が把握しやすいでしょう。有料ツールでは無料期間が設けられていることも多いため、本契約する前に事前に機能を確認しておくと安心です。
競合キーワード検索ツール3選
1. ラッコキーワード
ラッコキーワードは、登録者数が28万人を超える日本最大級の競合キーワード検索ツールです。主な機能は以下のとおりです。
- キーワード調査(サジェストキーワード、関連キーワードなど)
- 月間検索数・SEO難易度の算出
- 獲得キーワード調査
- 競合記事の見出し抽出
- AIによるコンテンツ制作補助
- 関連ハッシュタグ検索
さまざまな機能の中でも、「獲得キーワード調査」はEC事業者にとって優れた機能です。競合サイトで集客に成功しているキーワードやページを確認できる機能で、SEO対策だけでなく、ECサイト運営やマーケティング戦略にも活かすことができます。
ラッコキーワードは無料版でも機能が充実していますが、有料プランにすることで、月間検索数やSEO難易度を取得できたり、SEOにおける競合ドメインを抽出できたりと、SEO対策に有効な機能をさらに活用できます。
2. SimilarWeb(シミラーウェブ)
SimilarWebは世界的に利用されている市場分析・競合分析ツールで、日本語でも利用できます。主な機能は以下のとおりです。
- 競合・類似サイトの表示
- トラフィックの分析
- 流入チャネルの特定
- ユーザー属性の分析
- 流入キーワードの特定
SimilarWebは、競合サイトのURLを入力するだけで、さまざまな情報を得られるのが特徴です。「キーワード検索トラフィック」を活用すれば、競合サイトが獲得している上位キーワードを確認でき、自社のSEOマーケティングに活かすことができます。また、グローバル市場と日本市場の両方に対応しているため、越境ECを運営する人にも便利なツールといえるでしょう。料金プランは、個人向けから企業向けまでの3つの有料プランと無料プランが設けられています。
3. Ahrefs(エイチレフス)
Ahrefsは、シンガポールのAhrefs社が開発したツールで、競合調査や被リンク分析を得意とするツールです。NETFLIX(ネットフリックス)やAdobe(アドビ)をはじめとした、グローバル企業で広く利用されています。主な機能は以下のとおりです。
- 被リンク、参照ドメインの確認
- 推定流入キーワードの調査
- 検索エンジンにおける上位表示ページの確認
- キーワード単位での順位計測
- AIライティングツール
Ahrefsが提供する「サイトエクスプローラー」は、競合サイトのSEO分析に役立つ機能です。競合サイトの流入キーワードに加えて、他社がランクインしているキーワードのうち、自社がランクインしていないキーワードを見つけることができます。料金は有料プランのみで、個人向けから企業向けまでの4つの料金プランが設けられています。
競合キーワードの分析方法

1. 競合サイトを特定する
まずは、市場調査や競合調査を通して、自社にとって競合となるサイトや企業を特定しましょう。具体的には、以下の3点に当てはまる企業を探してみるといいでしょう。
- 同じ顧客層や市場をターゲットとしている企業のサイト
- 自社製品・サービスと類似している企業のサイト
- オンライン検索や市場調査で頻繁に目にする企業のサイト
上記の要素に当てはまる企業に加えて、自社が狙っているキーワードを検索し上位表示されるサイトを確認することで、SEO上での競合サイトも特定できます。
2. 競合サイトの流入キーワードを調査する
競合サイトを特定できたら、競合サイトがどんなキーワードでトラフィックを獲得しているのかを調査しましょう。前述の競合分析ツールを活用して、次のような情報を確認します。
- 競合他社サイトの全体、または特定ページごとの上位ランクキーワード
- 検索ボリューム
- SEO難易度
- キーワードごとの流入数、割合
これらの情報を収集することで、自社サイトでは対応できていないキーワードを洗い出すことができます。今後のコンテンツ制作の方向性を決める、重要な要素になります。
3. 競合のコンテンツを分析する
どんな情報をユーザーが求めているかを明確に理解し、質の高いコンテンツを制作するうえで、上位表示される競合サイトのコンテンツ分析も欠かせません。次のような項目を分析することで、競合サイトの成功要因を深掘りできます。
- タイトル・見出しの構成
- 関連キーワード
- コンテンツの長さや形式
- 内部リンクや被リンクの有無
4. コンテンツギャップを特定する
競合サイトのキーワードやコンテンツを分析できたら、競合分析ツールを使ってコンテンツギャップを特定します。コンテンツギャップとは、ユーザーが求めているにもかかわらず自社で十分に満たせていない情報や、競合サイトと比較して不足しているトピックを指します。コンテンツの制作・改善の指針として活用できる、重要な要素です。
コンテンツギャップを調べる際は、Ahrefsの「コンテンツギャップツール」が有効です。競合が検索でランクインしていて、自分のサイトがランクインしていないキーワードのリストを表示させることができます。
例えば、家電メーカー2社と比較してコンテンツギャップを分析するとします。それぞれのサイトURLを入力しレポートを実行すると、競合の上位キーワードで自社サイトが上位にランクインしていないキーワードが表示されます。もし取り扱っている商品に関連するキーワードであれば、コンテンツを追加したり改善したりする余地があるといえるでしょう。

検索ボリュームやキーワード難易度は、どのコンテンツギャップに取り組む価値があるかを判断し、優先順位をつけるのに役立ちます。自社ビジネスとの親和性を踏まえて、より検索数が多く、なおかつSEO難易度が高すぎないキーワードがないかを分析してみましょう。
まとめ
競合キーワード分析は、自社サイトで足りていない要素を発見し、コンテンツ戦略に役立てるためのプロセスです。まずは市場やSEO上の競合サイトを特定し、上位ランクキーワードや集客に成功しているコンテンツを分析しましょう。得られた知見を自社のコンテンツ制作に反映することで、検索順位の向上やコンバージョン率の改善につながります。
競合のキーワード調査は競合サイトを使って自力で行うこともできますが、作業の効率化を目指すなら、競合分析ツールも検討してみましょう。調査や分析のための工数が削減できたり、効果測定や対策の改善に役立ったりと、さまざまなメリットがあります。競合分析ツールを導入する際は、収集・分析したい情報が入手でき、費用対効果の高いツールを選択できるよう、無料体験を利用して複数のツールを比較することが大切です。
よくある質問
競合キーワード分析とは?
競合キーワード分析とは、競合他社が上位表示を狙っているキーワードを特定し、その情報を自社のSEO戦略に役立てるプロセスです。
コンテンツギャップとは?
コンテンツギャップとは、ユーザーが知りたい情報が十分に提供されていない状況を指します。具体例には検索されるキーワードに対して、十分な関連性を持ったコンテンツが自社サイト上に存在しない場合や、競合他社が提供しているコンテンツと比較した際、自社サイトの情報が劣っているまたは情報量が少ない場合が挙げられます。
被リンクとは?
被リンクとは、他のウェブサイトで貼られている、自社ウェブサイトのリンクのことです。信頼性の高いサイトから多くの被リンクがある場合、そのウェブサイトのコンテンツが有益であるとみなされ、検索結果で上位に表示されやすくなります。
キーワード難易度を分析するには?
キーワード難易度を分析するには、Ahrefsなどの競合分析ツールの活用がおすすめです。0~100の値で測定され、数値が大きいほど検索結果で上位にランクインするのが難しくなります。SEO難易度のほかに、自社ビジネスとの関連性や検索ボリュームも踏まえて、狙うべきキーワードを選定しましょう。
文:Ryutaro Yamauchi





