ECサイトなどのオンラインビジネスにおいて、顧客との金銭のやりとりを代行してくれる決済代行サービスの利用は必要不可欠ですが、どのサービスを使えばよいか迷っている事業主もいるでしょう。
この記事では、ビジネスオーナーや企業が決済代行業者を比較し、最適なサービスを見つけられるように、おすすめの決済代行サービスや選び方のポイントを詳しく解説します。ぜひこの記事を参考にして、自社のビジネスに合った決済代行サービスを見つけてください。
決済代行サービスとは

決済代行サービスとは、クレジットカード払いやコンビニ払いなどのさまざまな決済方法を、販売店の代わりに一括して行うサービスです。
決済代行サービスを使わない場合、販売店自身が決済方法ごとにカード会社などと契約し、顧客の支払管理や督促などを行う必要があります。この事務処理には、大きな手間と時間がかかります。決済代行サービスを利用すれば、決済代行会社が顧客やカード会社などとの間に入り、支払いに関する手続きや事務処理を代行してくれます。
決済代行サービス15社比較

1. Shopify ペイメント
Shopify ペイメントは、Shopifyのオンラインストアのための決済サービスです。Visa、Mastercard、American Express、JCB、Discover、Diners Clubのほかにスマホ決済などにも対応しているので、顧客の決済方法のニーズに広く応えることができます。
Shopifyでネットショップを開けば、すぐに利用できる手軽さも魅力です。Shop Payのようにワンクリックで決済できる決済方法もあり、顧客の利便性も高められます。Shopifyの決済方法をどれにしようか迷っている場合は、まずはShopify ペイメントを利用してみると良いでしょう。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:カードや契約内容によって異なる
2. PayPal(ペイパル)
PayPalは世界的に有名なオンライン決済サービスで、4億3000万以上のアクティブユーザー数を誇り、総加盟店数は3500万まで拡大しています。決済システムのほかに不正アクセス対策などの充実したカスタマーサポートを受けられるのが魅力です。また、海外での利用者数が多いので、越境ECを行うビジネスにおすすめです。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:3.6% + 40円(国内の標準レート:30万円以下の場合。取引金額で変動)
3. KOMOJU(コモジュ)
KOMOJUは日本国内向けのゲーム販売から始まった決済代行サービスで、PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYなど日本で広く使用されているモバイル決済や、クレジットカード決済、コンビニ決済にも対応しています。また、日本だけでなく韓国や中国、ヨーロッパ諸国などの主要なオンライン決済にも対応しています。コーディング不要で簡単に導入できる点も魅力です。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:決済方法や国によって異なる
4. あと払いペイディ
あと払ペイディは、クレジットカードが不要な決済方法を提供する決済代行サービスです。顧客は携帯電話番号とメールアドレスだけで後払いが可能になるため、若年層などのクレジットカードを所持していない顧客にもリーチ可能です。顧客は、買い物をした翌月初めに請求金額の通知を受け取り、その月の内にコンビニ払いまたは銀行振込で支払いを行います。
顧客の未払い金はペイディが負担するため、事業者は、売上金を100%保証され、回収業務も必要ありません。返品対応時の返金業務や、顧客の利便性を高める自動振替や分割払いにも対応しています。
- 月額手数料:0円
- 決済手数料:要問い合わせ
5. SB(ソフトバンク)ペイメントサービス
SBペイメントサービスは、ソフトバンクグループが提供する決済サービスのひとつです。クレジットカード払いに加え、QRコード決済やキャリア決済など40ブランド以上を取り扱っており、支払い方法の選択肢が少ないことによる顧客の取りこぼしを防止できます。
また、AI不正検知、マーケティング支援、クレジットカード分割払いの対応なども無償で行っており、カスタマーサービスが豊富な点もおすすめです。
- 月額手数料:決済サービスによって異なる
- 決済手数料:決済サービスによって異なる
6. NP後払い
NP後払いは、商品やサービスを先に提供してから後払いで回収する決済サービスです。不正取引検知など長年培ってきた与信審査のノウハウを活かし、与信通過率95%の高水準を実現しつつ、代金回収の安全性を確保しています。また、NP後払いの請求書を事業者自身で印刷して商品に同梱できるサービスなどにより、利便性を高めています。
- 月額手数料:Aプラン/0円、Bプラン/5,000円、Cプラン/20,000円、Dプラン/48,000円
- 決済手数料:Aプラン/5.0%、Bプラン/4.4%、Cプラン/3.6%、Dプラン/2.9%
7. atone(アトネ)
atoneはNP後払いと同じ会社が運営しているBtoC向け会員制決済サービスです。NP後払いと同様、回収関連の業務をすべて任せることができます。後払い方式の選択(購入ごと、または翌月一括)やポイント還元により、顧客の利便性を高めています。
- 月額手数料:スタンダードプラン/0円、プレミアムプラン/48,000円
- 決済手数料:スタンダード/物販3.5%~・非物販5.9%~、プレミアム/物販2.5%~・非物販4.9%~
8. NP掛け払い
NP掛け払いは、NP後払いやanoneと同じ会社が提供している、BtoB取引の請求業務を行っている決済代行サービスです。請求書発行や代金回収などの請求業務を削減でき、代金も100%保証されるため、未回収リスクも減らすことができます。また、BtoB決済代行のシェアNo.1を誇り、信頼性が高い点も特徴です。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
9. Smartpay(スマートペイ)
Smartpayは、購入代金の分割払い手数料や振込手数料を顧客が一切負担しない後払いの決済代行サービスです。単価の高い商材の販売を促進できるため、事業者は売り上げアップが期待できます。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
10. 後払い.com
後払い.comは、顧客が商品を受け取った後にコンビニやスマホで支払いができる決済代行サービスです。キャンセルや返品が発生しても費用負担がないため、細かな傷などが問題となるコレクター向け商品などを扱う業者と相性の良いサービスです。
- 月額手数料:リスクフリープラン/5,500円、スタンダードプラン/10,450円
- 決済手数料:リスクフリープラン/4.8%、スタンダードプラン/4.2%+請求手数料:132円~
11. PGマルチペイメントサービス
PGマルチペイメントサービスは、さまざまな決済サービスを扱うGMOペイメントゲートウェイが提供する決済代行サービスです。EC事業者からNHKや国税庁などの公的機関まで幅広い業種・業態の事業者が利用する法人向けの総合オンライン決済サービスです。手厚いサポートや導入支援体制、高レベルのセキュリティや信頼性を強みとしています。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
12. Epsilon(イプシロン)
Epsilonは、GMOペイメントゲートウェイの子会社が提供する個人事業向けの決済代行サービスです。カード決済、代引き決済、コンビニ決済、銀行決済、キャリア決済など、多様な決済手段を利用できます。また、物販、デジタルコンテンツ、BtoBなど取扱い商品や業態に合った取引メニューを揃えています。ECサイト向けのノウハウやサービスも積極的に提供しています。
- 月額手数料:契約内容や決済サービスによって異なる
- 決済手数料:契約内容や決済サービスによって異なる
13. Paygent(ペイジェント)
Paygentは決済手段の種類が豊富な決済代行サービスです。オンライン環境だけでなく店舗での決済にも利用ができ、企業間のクレジットカード決済、メール・電話オーダー対応などのオプションも提供しています。決済サービスの導入方法にいくつか選択肢があり、自社サイト内で決済まで完結できるモジュール組込タイプ、ECサイトからリンクを設定するだけで導入できるリンクタイプ(ASP)など自社に合った導入方法を選択できます。
- 月額手数料:要問い合わせ
- 決済手数料:要問い合わせ
14. Paid(ペイド)
Paidは 企業間決済サービス導入企業数No.1(*)を達成したBtoBに特化した決済代行サービスです。取引先を初回取引時に審査することで注文毎の審査が不要、大口取引や取引金額の増加に対応、定額自動請求オプションなど、企業間取引をスムーズに進める仕組みが整っています。また、事業者の請求管理と取引先の支払管理の双方の省力化にもつながります。
*日本マーケットリサーチ2021年9月期調べ
- 月額手数料:0円~
- 決済手数料:0.5~3.5% + 125円
15. ZEUS(ゼウス)
ZEUSは25年以上の実績を持つ決済代行サービスです。さまざまな決済方法や導入方法を提供しているため、自社のニーズや業種に合わせて選択できます。また、士業PAY、レッスンPAY、スタディPAY、賃貸決済PAYなどの特化型サービスメニューは、スモールビジネスの請求・決済業務効率化に役立ちます。
- 月額手数料:プランや決済方法によって異なる
- 決済手数料:プランや決済方法によって異なる
決済代行サービスを利用するメリット

簡単に多様な決済方法を導入できる
決済代行サービスを利用することで、本来であれば決済方法ごとに行う契約や審査を一括して行うことができます。新しい決済方法を追加する場合も、決済代行会社に申請を行うだけで追加でき、顧客のニーズにすばやく応えられます。
代金回収や入金管理もまとめてできる
支払いが遅れている顧客への督促や、入金や売り上げの管理を行う決済代行サービスを利用すれば、入金管理などの業務負担を軽減できます。個々の決済手段ごとに契約している場合、支払いの遅れを管理したり、金融機関などへの入金確認を注文ごとに行ったりしなければなりません。決済代行サービスの利用により、見落としなどの人的ミスを防ぎ、未払いの防止につながるだけでなく、入金日が明白になるため、次月の収益運用の見通しも立てやすくなります。
機会損失の防止・売り上げの増加が見込める
顧客が希望する決済手段を豊富にそろえることで、顧客の支払いの手間を減らし、カゴ落ち(商品カートに商品を入れたままウェブサイトから離脱し、購入をやめてしまうこと)を防止できます。
経済産業省は、2024年の日本でのキャッシュレス決済使用率は42.8%に達したと発表しました。今後もこうした決済方法の需要が伸びていくことが予想され、決済サービスの拡充による機会損失の防止は、間接的に売り上げ増加につながるといえるでしょう。
ビジネスチャンスを拡大できる
海外で主要な決済方法を導入できる決済代行サービスを利用すれば、日本国内だけでなく海外の顧客にもリーチでき、販路拡大が見込めます。
日本国内の場合でも、ターゲットとなる顧客層が好んで使う決済方法を導入することにより、利便性が高まり、利用者が拡大する可能性があります。また、決済サービスの取扱店舗に掲載されることで露出が増え、新規顧客の獲得も期待できるでしょう。
決済代行サービスを利用するデメリット

手数料による利益低下
決済代行サービスの導入により、月額費用や各決済の手数料などで利益が減ってしまう点に気を付けましょう。契約前に、既存の顧客数や月間販売数、売り上げなどから想定する決済代行サービスの手数料をシミュレーションし、全体の収益に大きな影響がないか確認するようにしてください。
システムアップデートの影響
決済代行サービスのシステムアップデートや、年末年始などの大型連休が重なると、一時的に利用が制限される場合があります。また、決済代行会社のトラブルなどでサービスが停止した場合、すべての決済方法が使えなくなってしまう可能性があります。そのような場面でも支払い方法が担保できるよう、銀行振込や代金引換などの決済代行サービスに依存しない支払い方法も準備しておきましょう。
問題発生時のトラブル対応
決済サービスにエラーが出た場合、一次対応として顧客対応に追われる可能性があります。考えられる原因の説明や代替案など、決済方法ごとに最低限把握しておく必要があり、カスタマーサービスの役割を果たさなければならない場面も考えられます。
顧客からの問い合わせにも対応している決済代行サービスを利用する、あるいは問題が起きた際のワークフローを整理しておくなど、事前に対策をとっておきましょう。
決済代行サービスの選定ポイント6つ

1. 手数料や固定費
手数料や固定費が大きすぎると、利益の減少や日々の運営費の圧迫につながります。想定される全体の収入とランニングコストを把握し、決済代行のサービス内容と手数料のバランスが自社に合っているかを確認しましょう。
長期間定額で契約すると費用が安くなる決済代行サービスなど、固定費を節約できる場合もあります。決済代行会社を決める際は、手数料を比較して慎重に検討するようにしましょう。
2. 対応している決済方法の種類
決済代行会社がどの決済サービス・支払い方法に対応しているかを確認しておきましょう。高額商品の場合は分割払いが好まれるので、決済サービスに加えて、どのような支払いの流れが可能なのかを確認することも大切です。
1つの決済代行会社との契約ですべての決済方法が使える場合、必要のないものがないかも見ておきましょう。決済方法の取り扱いが多い分、月額費用が高くなる傾向があるので、自社のターゲット層に合った会社と契約することが重要です。
3. 収入の振り込みのタイミング
決済代行サービスで支払われたお金が、いつ販売店側に振り込まれるのかも重要なポイントです。振り込みのタイミングによって自社のマネーフローが変わってくるため、商品の仕入れや各種固定費など運営に関わる支払いに支障がでないかどうかを確認しましょう。決済代行会社を比較する際は、月に複数回振り込みされるオプションなどを提供しているかどうかも確認すると良いでしょう。
4. セキュリティ・信頼性
契約する際は、決済代行サービスのセキュリティや信頼性についても確認しましょう。個人情報や支払い情報などがどのように取り扱われるのか、万が一流出してしまった場合の対応はどうなっているのかを確認することはとても重要です。実際に、日本で広く使用されているオンライン決済でも、不正アクセスによる加盟店などの情報流出が起こっています。この場合、決済サービスへの不信感から間接的に商品売り上げが下がる可能性があります。
また、不正利用された場合の検知システムや、トラブル時のサポート体制は整っているか、越境ECでは国際基準のセキュリティ規格を満たしているかなども比較しましょう。安全な決済代行サービスの使用は、顧客からの信頼獲得だけではなく、トラブル時の対応コストを避けるためにも重要です。
5. BtoB向けか、BtoC向けか
BtoBとBtoCのどちらに強い決済代行業者なのかを確認しましょう。どちらも提供している決済代行業者の場合、BtoBとBtoCではサービス内容や料金が異なる場合があるので、決済代行システムを比較する際はサポート内容を詳細に見ておくことをおすすめします。
BtoCの決済代行サービスでは、顧客からの支払いに関する問い合わせに土日祝日も対応してくれるものや、若年層や女性の顧客獲得に強みを持つものなどもあります。
BtoB向けの決済代行サービスでは、請求書の発行や代金の回収など、企業間での複雑なやりとりも代行してくれるため、請求業務の負担を軽減できます。
自社の業態に合ったビジネスモデルに強みを持つ決済代行サービスを選びましょう。
6. カスタマーサポートの充実度
疑問点や問題が発生したときに、迅速に対応してくれるかどうかを確認しておきましょう。決済に関するトラブルにも対応してくれるサービスを選ぶことで、社内対応の工数を減らし、業務を効率化できます。カスタマーサポートが充実していない場合、トラブル時に自社内ですべて対応しなければならず、手間や人的コストが増える原因になります。
まとめ
クレジットカード払いやキャリア決済、後払いなど、顧客が求める支払い方法は年々多様化しています。販売店がそれぞれの決済方法を個別に導入するのは、労力やコストが大きくなるため、現実的ではありません。必要な決済方法を一括で導入できる決済代行サービスの利用により、導入コストや請求業務負担を減らしつつ、顧客の支払い方法のニーズに応えることができます。
月額費用や手数料などのランニングコスト、督促や問い合わせ対応などのカスタマーサービス、さらに業種やBtoB・BtoCといった業態に合っているかなどを比較し、自社に最適な決済代行サービスを見つけてください。
決済代行会社に関するよくある質問
決済代行会社とは?
販売店や企業の代わりに支払手続きを行う決済代行サービスを提供している会社を指します。決済代行サービスを専業で行っている場合と、複数のサービスメニューの一つとして提供している場合があります。
決済代行サービスで有名な会社は?
世界的に有名な決済代行サービスは「PayPal(ペイパル)」です。
決済代行サービスとクレジットカードの違いは?
クレジットカードは、カード会社が利用者に代わって立替払いを行う仕組みの決済サービスです。決済代行サービスは、クレジットカード、モバイル決済、コンビニ支払などのさまざまな決済手段を一括で提供し、請求・回収・与信審査などの付加価値機能も備えています。
決済代行サービスの手数料は?
月額手数料と決済手数料に分かれており、月額手数料を無料とするサービスもあります。決済手数料は通常、取引金額や決済方法などの条件により、複数のプランが用意されています。
文:Norio Aoki





