お読みいただく前に
本記事は、Shopifyが海外で公開した事例・機能解説をもとにした翻訳記事です。内容の性質上、一部に日本では現在ご利用いただけない機能・サービスが含まれます。日本での提供状況は、記事末尾の「日本市場での注意点」にまとめていますので、あわせてご確認ください。
B2Bマーケットプレイスとは、企業が他の企業に商品を販売するためのプラットフォームです。2024年には、B2Bマーケットプレイスが3,500億ドル超の売上を生み、B2Bにおける最も成長の速い販売チャネルとして拡大しました。卸向けプラットフォームに商品を掲載すれば、購入意思の高いバイヤーの既存オーディエンスにリーチし、効率的に売上を伸ばせます。
とはいえ、最適なプラットフォーム選定には、顧客が使っているチャネルの把握から、システム連携や支払条件まで、多くの検討事項があります。本記事では、B2B販売の拡大に役立つ「10の主要B2Bマーケットプレイス」を紹介します。
B2Bマーケットプレイスとは?
B2Bマーケットプレイスは、企業が他の企業に商品を販売する場です。バイヤーは、オフィス用品の調達、製造のための設備・資材の確保、再販用在庫の仕入れなど、事業運営に必要なアイテムをマーケットプレイスで探して購入します。
B2Bマーケットプレイスで販売する5つの利点
B2Bのオンライン化が進むなか、マーケットプレイス・モデルは急成長しています。2024年版B2B Marketplace 750レポートによると、B2B売上の約14%がマーケットプレイス由来です。主な理由は次のとおりです。
1. バイヤーの信頼を高めやすい
B2Cと比べてB2Bの意思決定は厳密です。既存の評判を持つマーケットプレイスは、購買体験の安全性・信頼性を担保し、コンバージョンを後押しします。
2. 既存の購買プロセスにフィットする
103名のB2Bバイヤー調査では、59%が「オンライン・マーケットプレイスで4分の1超を購入」と回答。顧客が探す場所に在庫を掲載するだけで、接点をつくれます。
3. 新規市場への拡大を後押し
Amazon BusinessやFaireのような大手は国際的なプレゼンスを持ちます。ネットワークとノウハウを活用すれば、海外のバイヤーにも届きやすくなります。
4. 新商品の検証が容易
マーケットプレイスに新商品を掲載すれば、即時の受注で需要を検証できます。手応えがあれば投資拡大の判断材料になります。
5. 運用コストの削減
多くのマーケットプレイスは、フルフィルメント、決済、返品(リバース物流)などを提供。運用負荷を下げ、関係構築などに時間を投下できます。
B2Bマーケットプレイスのデメリット
B2Bマーケットプレイスは、スケールしてバイヤーにリーチしたい企業にとって大きな利点があります。一方で、出店前に押さえておきたい注意点もあります。
手数料が利益を圧迫
マーケットプレイスは多くの業務を肩代わりしますが、その分コストがかかります。支払い処理手数料、検索上位に表示するスポンサー掲載費、バイヤーとのマッチングに対する紹介手数料(コミッション)などが発生し、タイトになりがちなB2Bの利益率を圧迫します。
厳格な規約への適合が必要
アップロード可能な商品の種類や、受け入れ可能な支払条件など、プラットフォームの規約に従う必要があります。これらのルールに反すると、アカウント(出店プロフィール)の停止といった厳しい措置を受けるリスクがあります。
顧客体験の主導権が限定される
一部のB2Bマーケットプレイスには、ストアフロントのブランディングや顧客へのメール機能が用意されていますが、リテンション施策の自由度は限定的です。最も重要な資産である顧客との関係を長期的に築き、維持するのが難しくなる側面があります。
次世代のB2B購買体験を築きましょう。セルフサービスでモダンな体験が求められています。
オンライン販売に適したB2Bマーケットプレイス10選
1. Faire
独立系小売・ブランド向けのオンライン卸マーケットプレイス。アパレル、ホームデコ、食品・飲料、美容・ウェルネス、ジュエリー、文具・雑貨、キッズ&ベビー、ペットなど、数十万の小売事業者が利用しています。
Faireの利点
- 導入が簡単:無料のストアフロント。初期費用・サブスクリプション・コミットメントなし。
- 支払条件:対象小売は60日払いに対応。
- シームレス連携:受注・在庫・カタログをShopify管理画面に同期。
- Faire Direct:専用リンク経由の注文は手数料0%。
留意点
- マーケットプレイス経由の受注には手数料、返品対応に追加費用。
- 他チャネルと同一のカタログ・価格を要求(小売側の信頼維持のため)。
料金
- マーケットプレイス新規注文:15% + $10
- マーケットプレイス再注文:15%
- 直接注文:0%
「プレミアムな小売が多く、潜在ファンやアンバサダーに届いています。」— Very Great セールスVP Sherry Shannon
2. Mirakl
他社セラーの商品を取り扱う自社マーケットプレイス(マルチベンダー)を構築・拡大するソリューション。Airbus、Leroy Merlin、Macy's、Toyota Material Handlingなどで採用。
Miraklの利点
- すぐ使える運営基盤:オンボーディング、バックオフィス、運営機能が充実。
- 既存システムとの親和性:主要ECと連携し、商品・在庫・注文の整合性を維持。
- スケール対応:大量のセラー・商品を処理。広告(Mirakl Ads)、決済(Mirakl Payout)も追加可能。
留意点
- トライアルや低価格プランはなく、費用は相応に高め。
- IT/財務/法務/オペなど部門横断の運営体制が前提。
- 高度に特殊な要件への柔軟性は限定的な場合あり。
料金
- 非公開(大企業中心)
3. Amazon Business
企業の自社調達色が強いB2Bマーケットプレイス。2025年GMVは830億ドル予測。
利点
- グローバル展開:米・英・加・独・仏・伊・西・日・印などで展開。
- 事業者向け価格:法人価格やボリュームディスカウント。
- Business Prime:高速配送、支出トラッキング、購買コントロール機能。
留意点
- 競争が激しく差別化が難しい。
- 販売・コミュニケーションのコントロールが限定的。
- 出品可能カテゴリに制限あり。
料金
- 月額$39.99 + 紹介料(カテゴリにより8%〜)
- Business Prime:無料のDuoから、100ユーザー超のCompanyプラン(年$10,099)まで。
4. Alibaba
世界最大級のマーケットプレイス・プラットフォーム群。Taobao、Tmall、AliExpressなどを擁し、FY2024売上は1,300億ドル超。
利点
- 世界規模の買い手基盤:在庫仕入れニーズに広く対応。
- 認証セラー制度:事前の審査で信頼性を担保。
- 自動翻訳:18言語でB2Bストアを多言語対応。
留意点
- 競争が激化しやすく、差別化が難しい。
- アジア拠点中心のため配送リードタイムが長くなりがち。
- 同質的な出品が多いカテゴリは、価格競争で粗利・ブランド価値が低下。
料金
- ベーシック:$199/月(四半期払い)または$166/月(年払い)
- スタンダード:$299/月(四半期払い)または$239/月(年払い)
5. Ankorstore
欧州の独立系買い手と売り手をつなぐ卸マーケットプレイス。小売30万社超、出品ブランド2万超。
利点
- 支払柔軟性:到着時払い〜60日までの支払いオプション。
- 卸価格はブランドが設定可能。
- 欧州の主要国で幅広く展開。
- Shopify連携。
留意点
- 最低注文金額は£100(VAT除く)。
- ニッチ・独立系に強み。大手・既存ネットワークが強いブランドには相対的優先度が低い場合あり。
料金
- 無料登録。手数料0〜17%。決済処理費用は別途。
6. Novi
クリーン・透明性を重視する商品に特化。マーケティング主張、処方所有権、サステナブル包装の検証で差別化。
利点
- 価値観の一致する小売と出会える。
- 持続可能性の検証で信頼性を醸成。
留意点
- 汎用B2Bより市場規模が小さい。
- 主張の証跡など書類面の要件が厳格。
料金
- 要問い合わせ
7. Carro
独立系ビジネス向けの卸ドロップシッピング型マーケットプレイス。70,000超のブランドが50万SKUを掲載。ハンドメイド系カテゴリが人気。
利点
- 初期費用ゼロ。
- 在庫レスでカタログ拡張。
- ブランド提携を短時間で。
- 調達とサプライ関係を一元管理。
留意点
- GMVに対するレベニューシェアモデル。
- バルク卸・既製品大量販売には不向き。
料金
- Free:GMVの10%(キュレート供給商材)
- Build:$149/月(年払い割引あり)+ GMVの7%
- Scale:$299/月(年払い割引あり)+ GMVの5%(ホワイトグローブ導入、専任マーチャン、ビジネスレビュー)
8. Global Sources
1971年創業、香港拠点。オンライン・展示会・出版を通じて、国際バイヤーとアジアのサプライヤーを接続。
利点
- 厳格なサプライヤー検証(営業許可、現地工場査察など)。
- 発見経路が複数(オンライン、展示会、出版)。
- 電子機器からホーム&ガーデンまで幅広い品揃え。
- 越境調達・輸入に関する専門知見。
留意点
- 検証済みでも自社でのサンプル確認・証明書チェックは推奨。
- 最低注文数量が高い案件があり、小規模注文には不向きな場合あり。
料金
- バイヤーのオンライン利用は一般に無料。展示会参加やプレミアム機能、取引条件に応じて費用が発生。
9. Made in China
Focus Technology運営の主要B2Bプラットフォーム。27カテゴリ(製造機械、家電、繊維など)を網羅。
利点
- SGS、Bureau Veritas、TÜV Rheinlandなどによる監査レポートを参照可能。
- オンラインEXPO、カスタム調達、トレードサービスなどの充実した調達支援。
- モバイルアプリで注文、配送追跡、チャット、割引にアクセス可能。
留意点
- 類似サプライヤーが多く、比較に時間がかかる。
- 検証済みでも品質差はあり得るため、サンプル・認証の追加確認が必要。
料金
- バイヤーの基本利用は無料。プレミアム会員やSTSによる取引処理などは追加費用の可能性。
10. DHgate.com
中国発の越境B2B/B2Cマーケットプレイス。ライブ出品3,400万件超、登録買い手5,960万超、セラー254万超。
利点
- 世界規模の顧客基盤。
- 多言語対応で国際ユーザーに使いやすい。
- モバイルアプリで外出先からも購買可能。
留意点
- 価格・送料・条件のすり合わせなど、出品者との事前コミュニケーションが重要。掲載価格と最終条件が異なる事例の報告あり。
料金
- 販売者:プラットフォーム料(四半期299元/半期598元/年999元)+ デポジット(5万〜20万元、商品と売上規模による)
- 購入者:アクセス無料。商品代・送料・関税等は実費。
チェックリスト:自社に適したB2Bプラットフォームを選ぶには
短いチェックリストで、自社のECがB2B対応の準備ができているかを確認しましょう。
B2Bマーケットプレイスで成功する方法
新しいB2B事業の立ち上げは容易ではありません。以下のベストプラクティスで成功確率を高めましょう。
リアルタイム在庫管理を使う
ShopifyのB2Bでは、全チャネルを単一のECバックエンドで運用できます。リアルタイム在庫により、在庫切れ販売を防止可能。BA CreativeのZac van Manen氏は、「B2CとB2B在庫を別管理する場合、両者の同期を保つのが難しい。優れたERP連携が鍵」と述べています。
さらに、全チャネルの分析ができるプラットフォームを選びましょう。Shopifyでは、会社プロフィールで関係者が過去注文や請求書作成をセルフサービスで行え、営業の手を煩わせません。Van CompassのAndy Knox氏は「卸業務の自動化で小売にも集中できる」と語ります。
PIM(商品情報管理)を導入する
B2Bは専門知識への期待が高く、SKU数・チャネルが多いほど管理が難しくなります。PIMでSKU、商品タイトル・画像・説明、タグ・カテゴリ、卸・階層価格、B2Bの最低注文額などを統一管理しましょう。Jasper PIM等を使えば、各マーケットプレイスへ正確な情報を配信できます。
フルフィルメントは外部委託も検討する
マーケットプレイスで獲得した注文は、迅速・正確に届ける必要があります。B2Bは100点以上のバルク出荷も一般的。以下の3PL連携を検討しましょう:
- Shopify Fulfillment Network
- ShipBob
- ShipStation
- Veeqo
- Easyship
選定したマーケットプレイスに独自のフルフィルメントがあるかも確認(例:Amazon BusinessのFBA)。国際倉庫網や高度なテクノロジーを持つ3PLを活用すると配送が高速化し、リテンションに効きます。
B2Bマーケットプレイスで販売を始める
マーケットプレイスは、業界の何百万人もの買い手が在庫を探す場所です。ShopifyのB2Bを使えば、在庫・商品情報・分析を1つのダッシュボードで管理しながら、どこで販売していても運用できます。
次世代のB2B購買体験を築きましょう。セルフサービスでモダンな体験が求められています。
B2B marketplace FAQ
B2Bマーケットプレイスとは何ですか?
B2Bマーケットプレイスは、企業が卸売商品を出品・購入できるウェブプラットフォームです。支払い処理、商品検索フィルター、フルフィルメントなどの機能を備える場合があります。
最も人気のあるB2Bマーケットプレイスは?
Alibabaは世界最大級のB2Bマーケットプレイスで、190カ国以上の何百万人ものバイヤーとサプライヤーが参加しています。豊富な商品レンジ、検証制度、トレードサービスで市場をリード。Amazon BusinessやFaireも大手ですが、Alibabaは取扱高・シェアで優位です。
B2B市場の4タイプは?
1) 生産者(原材料・部品の製造業者) 2) 再販業者(卸売・流通) 3) 政府(連邦・州・地方) 4) 機関(学校、病院、非営利)。生産者は生産投入財、再販はリテール向け商品、政府は入札調達、機関は専門的ニーズに焦点。タイプごとに戦略は異なります。
B2Bマーケットプレイスの収益源は?
サブスクリプション、取引手数料、掲載・広告料が中心。無料プラン+有料機能の段階制を採用する所も多く、決済処理、物流、与信・ファイナンス等の付加価値サービスでも収益化します。
ShopifyはB2Bマーケットプレイスですか?
ShopifyはB2B販売を支える機能群(会社別カタログ、支払条件、複数拠点・担当を束ねる会社プロフィール、通貨対応など)を提供するプラットフォームで、マーケットプレイスそのものではありません。
AmazonはB2Bですか、それともB2Cですか?
AmazonはB2BとB2Cの両方を提供します。幅広い商品ラインナップは、中小企業の購買ニーズにも対応します。
B2BとB2Cのマーケットプレイスの違いは?
B2C(Amazon、Etsyなど)は個人消費者向け。B2Bは企業間取引で、大量・割引・事前承認などが一般的です。B2Bでは、承認済みでないと商品閲覧ができない仕組みもよく見られます。
日本市場での注意点
この記事で紹介されているShopifyの主要機能について、日本での利用可能状況は以下の通りです。
✅ 日本で利用可能な機能
- Shopifyペイメント: オンライン決済の最も簡単な方法
- Shop Pay: ワンタップでの安全で高速なチェックアウト
- Shop App: iOS・Android対応のショッピング・配送追跡アプリ
- Shopify POSソフトウェア: 実店舗とオンラインの在庫・売上同期システム
- 予約注文機能: まだ入手できない商品の予約販売設定
❌ 日本で現在利用不可または一部制限のある機能
- Shopify Fulfillment Network: 米国中心のサービスのため、日本では未提供





