国内市場の成熟化や円安などを背景に、海外の消費者へ商品を販売する「グローバルコマース（越境EC）」は、多くの日本企業にとって新たな事業成長のチャンスとなっています。品質の高い日本の商品は世界中で依然として人気が高く、海外市場への展開は、ビジネスを大きく成長させる可能性を秘めています。
しかし、実際には「何から手をつければ良いかわからない」「言語、決済、配送などの課題が多そう」といった理由で、最初の一歩を踏み出せない事業者が多いのも事実です。
この記事では、グローバルコマースがもたらすメリットを整理し、多くの事業者が直面する具体的な課題と、Shopifyがそれらの課題をどのように解決できるのかを分かりやすく解説します。
グローバルコマース（越境EC）に取り組むメリット
海外への販路拡大は、単に売上を伸ばすだけでなく、事業基盤そのものを強くする多くのメリットがあります。
1. 新たな市場と顧客の開拓
最大のメリットは、巨大な海外市場にアクセスできる点です。国内で既に高い人気を誇る商品でも、世界に目を向ければ、その価値をまだ知らない多くの潜在顧客がいます。新たな顧客層を開拓することは、事業の成長に直接繋がります。
2. 単一市場への依存リスクの分散
事業が一つの国に集中している場合、その国の景気や法制度の変更、災害といった予測不能な出来事の影響を受けやすくなります。販路を複数の国に広げることは、一つの市場が落ち込んでも他の市場でカバーできるため、事業全体の安定性を高めるリスク分散の戦略として有効です。
3. 事業規模の拡大による収益性の向上
販売量が増えれば、より多くの商品を生産・仕入れすることになります。これにより、一つあたりのコストを削減する「スケールメリット（規模の経済）」が働き、収益性の向上が期待できます。また、取引量の増加は、サプライヤーとの価格交渉を有利に進める材料にもなります。
グローバルコマースにおける5つの主な課題
多くのメリットがある一方、海外で商品を販売するには、国内とは異なるいくつかの課題を乗り越える必要があります。
1. 言語と文化の違い
海外の顧客に商品を購入してもらうには、ECサイトをただ翻訳するだけでは不十分です。各国の文化や生活習慣を理解し、マーケティングのメッセージや商品の見せ方を、その国に合わせて最適化する必要があります。この「現地化」が不十分だと、商品の魅力が伝わらないばかりか、意図せず顧客に悪い印象を与えてしまう可能性もあります。
2. 決済方法と通貨
国や地域によって、主に使われる決済方法は大きく異なります。顧客が普段から使い慣れている決済方法がなければ、購入の最終段階で離脱してしまう大きな原因になります。また、自国の通貨で価格がわからなかったり、決済ができなかったりすると、顧客は為替レートや手数料を心配し、購入をためらってしまいます。
3. 関税と税金
グローバルコマースにおいて、特有の複雑な課題が関税と輸入税です。税率は国や商品の種類によって異なり、計算方法も簡単ではありません。購入時にこれらの費用が明確に分からず、商品到着後に追加で請求されると、顧客満足度が大きく下がり、商品の受け取り拒否といったトラブルに繋がることもあります。
4. 配送と物流
一般的に、海外への配送は国内に比べて費用が高く、日数もかかります。信頼できる配送業者の選定、複雑な通関手続き、荷物の追跡管理など、国内販売にはない多くの業務が発生します。効率的な物流体制を整えなければ、コストが収益を圧迫する原因にもなります。
5. マーケティングと集客
国内で成果を上げたマーケティング手法が、海外でも同じように通用するとは限りません。各国の主要なSNSや広告媒体、消費者の行動パターンなどを理解し、現地の市場に合わせた集客戦略を考える必要があります。
Shopifyが提供するグローバルコマースの解決策
Shopifyは、これまで海外展開の障壁となっていた上記の課題を解決するための、便利な機能を提供しています。
1. Shopify Marketsによる販売エリアの一元管理
Shopify Marketsは、一つのストアで複数の国や地域の市場を管理できる、グローバルコマース向けの標準機能です。国ごとに言語、通貨、価格、表示する商品などを細かく設定し、それぞれの市場に合わせた販売戦略を効率的に実行できます。
2. 各国の主要決済と多通貨への対応
Shopify Paymentsを利用することで、世界中の主要なクレジットカード決済や、Apple Pay、Google Payといったスピーディーな決済方法に標準で対応できます。また、130種類以上の通貨で価格を表示できるため、顧客は為替を気にすることなく、自国通貨で安心して買い物ができます。
3. 複雑な関税・輸入税の自動計算
Shopify Marketsでは、チェックアウト時に配送先の国と商品情報から、関税と輸入税を自動計算して表示できます。商品代金と合わせて事前決済してもらうことで、顧客は支払総額を正確に把握でき、事業者は複雑な税務対応の負担を軽減できます。
4. 配送設定の簡素化とアプリ連携
国別の配送エリアと料金を簡単に設定できるのはもちろん、国内外の主要な配送業者と連携できるアプリも豊富に用意されています。送り状の自動発行や、海外の倉庫サービス（3PL）とのシステム連携などを活用し、複雑な配送業務を効率化することが可能です。
5. 多言語対応とサイトの現地化
Shopifyは20以上の言語に対応しており、ストアの表示を自動で翻訳できます。さらにShopifyのアプリエコシステムの翻訳アプリを使えば、商品詳細やブログ記事なども簡単に多言語対応が可能です。これにより、各市場の顧客に合わせた、より自然な購買体験を提供できます。
まとめ
以前は海外展開は大企業が中心でしたが、Shopifyのようなプラットフォームの登場により、多くの事業者にとって現実的な選択肢となっています。言語、決済、関税、配送といった複雑な課題の多くは、Shopifyの標準機能や豊富なアプリで解決できます。
大切なのは、最初から完璧を目指すのではなく、まずは一つの国から試してみることです。Shopifyというパートナーと共に、日本の優れた商品を世界中のお客様に届ける一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
