ブランドライセンスの仕組みとメリット、実例をご紹介（2026年版）

ブランドライセンスは、企業が他のビジネスに対して、自社の知的財産（ブランド名、ソフトウェア、特許など）を商業的に使用する許可を与え、その対価としてロイヤリティを受け取るプロセスです。

ブランドライセンス業界は、2033年までに5,339億ドル（約80兆850億円）の市場価値が見込まれる巨大ビジネスです。このモデルは、製品ラインアップの拡大、偽造品からの保護、そしてより強固な顧客関係の構築を可能にします。しかし、小売事業の成長手段としてライセンスを追求する前に、ライセンスの仕組みを隅々まで理解しておく必要があります。

ブランドライセンスがあなたのビジネスに適しているかどうか不明な場合、このガイドが役立ちます。交渉可能な契約の種類、知的財産をライセンスすることの利点、成功したブランドの事例を探ってみましょう。

ブランドライセンスとは？

ブランドライセンスとは、他の企業に自社の知的財産を使用する許可を与える行為です。ブランドオーナーは、自社の特許、ソフトウェア、キャラクターなどを他の企業に貸し出します。ライセンシーは、その知的財産を活用して高い価格で再販売したり、知的財産を利用した商品を製造・販売したりすることができます。いずれの場合も、ライセンサーは許可を与えた対価として、一定の手数料（ロイヤリティ）や一時金を受け取ります。

実際のブランドライセンス契約の例としては、バービーが挙げられます。世界的に知られるこのブランドは、さまざまな企業とライセンス契約を締結しています。その一例が、Shopifyの販売者であるThe Oodieで、限定版のバービー商品を展開しています。

5種類のライセンス契約

ブランドと商標

企業は、ブランド名やロゴを使用する権利を所有できます。これらは商標と呼ばれ、他の企業がその資産を無断で使用するのを防ぐために存在します。

企業は、他のブランドに自社の商標を使用するためのライセンスを与えることができます。コカ・コーラはその例です。コカ・コーラのために炭酸飲料を製造する独立したブランドは、商標ライセンスを保有しているため、製造が可能です。これらのパートナーシップは、コカ・コーラに対して10億ドル（約1,500億円）以上の小売売上をもたらしています。

特許

特許は、商標と同様に、無許可の商業利用から法的に保護される知的財産です。

唯一の違いは、特許が新しい発明に対して与えられるものであり、ブランド名やロゴではないという点です。特許は、新しい機械、デザイン（消費者向け製品）、または植物の発明に対して付与されます。Lollacupはその例です。このブランドの重り付き子供用マグを使用したい場合は、特許ライセンスを取得する必要があります。

キャラクター、エンターテイメント、アート

キャラクターは、ブランドがライセンスできるもう一つのタイプの商標です。最も代表的な例はディズニーです。ミッキーマウス、マーベル、スター・ウォーズのキャラクターは、世界中のさまざまな商品に登場します。

ディズニーの公式商品だけでなく、サードパーティブランドもディズニーのキャラクターを衣料品、家庭用品、マグカップなどに使用するためのライセンスを取得しています。これらの商標はエンターテインメント分野にも広がっており、ディズニーは映画、テレビ番組、音楽のライセンスも行っています。テーマパークの映像も、ブランドライセンスを保有する者だけが使用できます。

ソフトウェア

ソフトウェアを使用するために料金を支払っている場合、それは単一ユーザーライセンスまたはチームライセンスを購入していることを意味します。マルチユーザーライセンスを持っていない限り、他の人にソフトウェアへのアクセスを販売することはできません。マルチユーザーライセンスがある場合にのみ、サードパーティ企業がソフトウェア会社のコードを他の人に再販売することが可能になります。

スポーツ

ライセンス契約に基づくスポーツグッズ市場は大きなビジネスです。2022年には313億ドル（約4兆6,950億円）の規模に達し、2028年まで年率3.5％の成長が見込まれています。

NBA、NFL、欧州サッカーリーグなどのスポーツチームは、いずれもブランドライセンス契約を結んでおり、各契約によってサードパーティ企業がチームのロゴや選手名を使用した商品を製造することができます。

ブランドライセンスのメリット

ブランドを成長させ、より広いオーディエンスにリーチ

ブランドをライセンス展開することは、他のビジネスとパートナーシップを築くことを意味します。これらのパートナーシップの大きな利点の一つは、より広いオーディエンスにリーチできる点です。

他のブランドと協力することで、その顧客層やオーディエンスに即座にアクセスでき、相手ブランドも同様にあなたのオーディエンスにアプローチできます。ライセンサーであってもライセンシーであっても、双方のブランドが互いのオーディエンスを活用し、新しい年齢層や地域市場へ拡大することができます。ライセンシーがすでに確立している市場であれば、浸透もスムーズです。

顧客との関係を強化

ブランドが成長するにつれて、顧客の欲求や期待もそれに伴って高まります。企業の規模に関わらず、顧客の期待に応える形で製品ラインを意味のある形で拡大するのは容易ではありません。

ブランドをライセンス展開することは、製造能力と製品デザイン能力の間に橋を架ける一つの方法です。その結果、リピート購入を促進し、顧客が求める製品を提供することができます。

「ライセンス製品は間違いなくソーシャルメディアでの広がりが早いです」と、Iglooのブライアン・ガロファロウCMOは語ります。「購入した人は、進んでシェアしてくれます。それが私たちのビジネスやブランドポジショニングの大きな部分です。私たちは『楽しさ』を大切にしています。楽しいライセンス展開を通じて人々の笑顔を引き出し、購入した方々は自分のタンブラーを見せたがるのです。」

追加収益を生み出し、収益を多様化

ブランドライセンス契約を結ぶことで、ライセンサーは通常、販売されたライセンス製品ごとにロイヤリティを受け取ります。ロイヤリティによって収益が10万円から1億万円に急増するというわけではありませんが、付加的な価値をもたらし、ブランドの収益源を多様化する有効な手段となります。

ライセンス商品によっては、その追加収益が小売業における季節的な売上変動を緩和する助けとなる場合もあります。

ブランドを偽造品から保護

ストリートマーケットに行ったことがある人なら、無許可の偽造品が違法に販売されている光景を目にしたことがあるでしょう。たとえば、3,000円の「コーチ」のハンドバッグや、1,500円の「レイバン」のサングラスなどです。

ブランドが大きくなるにつれて、偽造品もすぐに出回るようになります。ブランドをライセンス展開することで、こうした動きに先手を打つことができます。ブランドライセンスの初期段階では、知的財産を保護することが重要なステップの一つです。また、値引きや模倣品に関する明確なルールを設けることで、ブランドの信頼性や評判を守ることができます。

このように積極的に取り組むことで、ブランドは偽造品との戦いにおいて優位な立場を築くことができます。

新しい製品カテゴリーに挑戦

新しい市場への進出には常にリスクが伴います。もちろん、製品調査を行ったり、顧客の意見を聞いたり、競合の動向を分析したりすることはできますが、新しい製品への投資が本当に成功するかどうかは、実際に始めてみるまでわかりません。

ブランドライセンス契約は、そのリスクを軽減する有効な手段です。確立された企業は資金力や専門知識、豊富な経験を持ち、すでに形成された市場へのアクセスも可能です。一方、スタートアップ企業は外部資金を調達するか、自社資金を製品開発に投じる必要があり、多くの時間とコストがかかるうえに、失敗のリスクも伴います。

実績のある収益性の高い企業であれば、大量生産が可能で、あなたの製品をより幅広いオーディエンスに向けて効果的にプロモーションすることができます。これは小規模な独立系企業にとっては容易ではないことです。

製造や流通リソースを活用

小売ビジネスを成長させるうえで、最も難しい課題の一つが製造です。顧客を店舗やECサイトに集客できても、その後の製造プロセスが円滑に進まなければ、せっかくの見込み客も購入には至りません

Joy Organicsのゲリッド・スミスCMOによると、ブランドライセンスはこの課題を解決する助けになるといいます。「確立された製造・流通拠点や経験を持つライセンサー、またはライセンシーと提携することで、これらのリソースを活用できる可能性があります」と彼は述べています。

「これにより、市場投入までの時間を短縮し、自社で生産施設を立ち上げる必要がなくなるため、時間とコストの両方を削減できます。さらに、プロモーションや広告活動などの共通コストを分担することで、ライセンサーとライセンシーの双方がコストを抑えつつ、効率を高めることができるのです。」

ブランドをライセンス展開する方法

効果的なブランドライセンス戦略は、ブランド資産の安全性と保護を確保し、発行するライセンスが最終的にブランドの利益につながるようにすることが重要です。以下は、その取り組みを始めるためのステップです。

1. 知的財産を保護する

知的財産の保護は、ブランドをライセンス展開するうえで最も重要な要素の一つです。誤って他者にブランド資産への完全なアクセス権を与えてしまうような事態は避けなければなりません。

ブランドを守る最も効果的な方法は、知的財産に詳しい弁護士と早い段階から連携することです。ブランド資産が商標登録され、適切に保護されていることを確認したうえで、ライセンス展開を検討しましょう。

2. リサーチする

ブランドをライセンス展開することは、一度きりのプロセスではありません。小売ビジネスの成長エンジンとしてブランドライセンスを積極的に活用する場合は、潜在的なライセンシーに求める条件を整理した包括的な戦略を作成するのが理想的です。そうすることで、どの企業にアプローチし、どこまで許可するかを素早く判断できます。

すべては徹底した調査から始まります。どのようなパートナーシップでも、潜在的なライセンシーを評価し、ブランドライセンスにふさわしい相手かどうかを見極める必要があります。ブランドとしての相性には多くの要素が関わりますが、特に次のような問いを検討しましょう。

• 顧客はこの製品に興味を持っていますか？顧客から繰り返し要望があるのに自社では提供していない製品がある場合、その製品を自社ブランド名で他社に製造してもらうライセンスを提供する好機といえます。
• ブランドの資産はこの製品に適していますか？ スポーツチームがアパレル企業にロゴやチーム名の使用をライセンス展開し、ファンがドジャースの帽子を購入できるようにするのは、ごく自然な流れです。一方で、タンパックスが朝食用シリアルメーカーにブランドをライセンス展開するのは、あまり理にかなっていません。
• ライセンシーには価値を加える運営能力がありますか？  ライセンス契約が最も効果を発揮するのは、ライセンス製品がしっかり売れる場合です。潜在的なライセンシーに対して自問してください。彼らは十分な量を製造し、契約を有利にできるだけの体制を持っているでしょうか？

3. 条件と制限を設定する

ブランドや顧客に適した潜在的なライセンシーを見つけたら、次はライセンス契約の作成段階です。前述のとおり、ライセンスエージェントや弁護士と協力し、契約に必要なすべての条件が盛り込まれていること、そして契約が法的に有効であることを確認しましょう。

エージェントがライセンス契約を作成する際には、いくつかの重要な条件や制限を決定する必要があります。これらはパートナーシップの具体的な内容を明確にし、あなたとライセンシーの双方にとって現実的な期待値を設定する役割を果たします。

ブランドライセンス契約の作成方法

ブランドライセンス契約は、2つの企業がどのように協力し合うか、その具体的な取り決めを定めるものです。たとえば、ライセンシー（ブランドの使用権を購入する企業）は、ライセンス製品の販売ごとにライセンサー（ブランドを所有する企業）へロイヤリティを支払います。以下では、契約を作成する際に考慮すべき9つの重要な要素を紹介します。

弁護士と協力する

抜け漏れのない契約内容を理解し、適切にまとめられるのは、ブランドライセンスに精通した弁護士です。

自分の知的財産の種類（特許、ソフトウェアなど）や業界分野に詳しい弁護士を探すには、まずGoogle検索などで候補を見つけましょう。過去のクライアントからの評価を確認し、これまでに手がけた契約の事例（ケーススタディ）にも目を通すと良いでしょう。契約を締結する前に、弁護士が請求する報酬体系や手数料についても明確にしておくことが大切です。

すべての関係者にとって公平なブランドライセンス契約を作成できる弁護士を見つけるには時間がかかりますが、それはプロセスの中でも最も重要なステップです。

ライセンスされる知的財産を定義する

ライセンシーとライセンサーそれぞれの役割を明確にすることに加えて、ブランドライセンス契約では、契約の対象となるもの（および対象外のもの）を具体的に定義する必要があります。

Sansheeは、ビデオゲームやアニメファン向けのプレミアムグッズを製造する小売企業です。ライセンス契約の調整を担当する運営マネージャーのサラ・フェッター氏はこう語ります。「ライセンサーの提供内容を明記する必要があります。たとえば『あなたが私たちのために制作したアイテムを、X期間内にプロモーションします』といった形です。事前にすべてを明確にしておくことはとても重要です。」

さらに彼女は続けます。「ゲームのコピーやキャラクター設定資料など、必要なすべての資産を事前に揃えておくことが大切です。基本的に、私たちがライセンス契約にサインする時点で、必要な情報がすべて手元にある状態であるべきなのです。」

独占性を考慮する

多くのブランドライセンス契約は非独占的な形で締結されます。つまり、あなたは複数の競合するアパレルメーカーに対して同じブランドをライセンスすることが可能です。非独占契約はブランドライセンスでは一般的な形式ですが、その内容は必ず契約書に明記しておく必要があります。

状況によっては限定的に独占ライセンスを提供する場合もあります。特定のライセンシーだけがあなたの知的財産を独占的に使用できる場合、その企業には競争上の優位性が生まれます。そのため、こうした契約では通常、より高いロイヤリティを設定することが可能です

ロイヤリティを特定する

ブランドライセンスの大きな利点の一つは、新たな収益源を構築できることです。ライセンシーは、あなたの知的財産を活用して収益を上げます。そのため、ブランドライセンス契約では、その知的財産に対してどのような財務的な対価を支払うのか、報酬の仕組みを明確に定める必要があります。

ブランドライセンス契約で一般的な支払い構造は次のとおりです。

• 初期一括料金：ライセンシーは、あなたの知的財産をライセンス展開するために、あらかじめ一括料金を支払います。これは通常、年単位で設定されます。
• 継続的なロイヤリティ：ライセンシーは、販売された各ライセンス製品の単価に対する一定の割合、または特定の金額を継続的に支払います。例えば、ライセンス製品に対して10％のロイヤリティを設定し、ライセンシーが5,000万円の売上を上げた場合、あなたが受け取る金額は500万円となります。

一部のブランドは、契約の一環として販売監視を盛り込むことを選ぶ場合もあります。この場合、ライセンサーはライセンシーに販売データの提出を求め、パートナーシップを継続する商業的価値があるかどうかを確認できます。

また、ライセンス製品のディスカウントに関する取り決めも、このプロセスの中で検討すべき重要な要素です。特にロイヤリティ支払いの仕組みを採用している場合、ライセンス契約にはライセンシーが顧客に提供できる最大割引率を明確に記載する必要があります。結局のところ、定価5,000円のライセンス製品から得られる10％のロイヤリティは、2,000円まで値下げされた製品からのロイヤリティとは大きく異なるのです。

品質保証を考慮する

他の企業に自社の名前やロゴ、またはその類似デザインを製品に使用する許可を与えるということは、一定のリスクを伴います。あなたのブランドは、その製品の品質や内容と自動的に結び付けられ、場合によっては責任を問われることもあります。だからこそ、ライセンス契約に品質保証に関する条件を盛り込むことが極めて重要です。ブランドのアイデンティティや評判を守るための防衛線となります。

品質保証の条項には、ライセンシーに対して次のような制限を設けることが考えられます。

• ブランドロゴなどの画像を歪めて使用しない
• ブランドで定められたフォントや色を変更しない
• ライセンスされたソフトウェアに新しいコードを追加しない

ブランドイメージを保護するために、契約書ではライセンスの対象となるもの（例：ゲームのキャラクター）と、ライセンシーがその資産をどのように使用できるかについて、明確に定義する必要があります。たとえば、「ライセンシーは、当社の知的財産を使用してアルコール関連製品を製造または販売することはできません」といった具体的な制限を設けることが望ましいでしょう。

期間

他の企業に知的財産の使用を許可するライセンス期間はどのくらいに設定すべきでしょうか。Sansheeのサラ・フェッター氏は、1年または2年の契約期間を選ぶことが多いといいます。これにより、ライセンス製品の人気や販売動向を見極め、長期契約に移行するかどうかを判断する時間を確保できます。

ただし、ライセンス契約に「理想的な期間」というものはありません。1年は良い出発点ですが、ブランドによっては長期的なパートナーシップを望み、製品販売に十分な時間をかけたい場合もあります。一方で、ライセンス展開が自社に適したビジネスモデルかを見極めるために、まず短期契約を試す企業もあります。

重要なのは、期間の長さそのものではなく、合意した契約期間を明確にブランドライセンス契約に記載しておくことです。

ライセンス適用地域

複数のライセンスパートナーと提携する場合、それぞれのパートナーがあなたの知的財産を使用できる地域を明確に定義することが重要です。これにより、パートナー同士が同一地域で競合し、不要なトラブルを引き起こすのを防ぐことができます。

また、海外で販売する場合には注意が必要です。通常、知的財産の権利を保有している国では、既にその権利を持つ企業やパートナーが存在するため、同じ製品を別の企業が販売することはできません。たとえば、イギリスの企業があなたのゲームを制作しており、その企業とライセンス契約を結んでいる場合、同じ国で別のパートナーがそのゲームを販売することは難しくなります。

さらに、各国の郵便事情や物流システムも地理的な取り決めに影響を与えることがあります。場合によっては、特定の国では配送に時間がかかりすぎるため、クライアント側からその地域での販売を控えるよう求められることもあります。

配送責任

ブランドライセンス契約では、配送に関する責任の所在を明確にしておくことが重要です。顧客への商品のピッキング、梱包、発送は誰が担当するのか。在庫はどこに保管するのか――あなたの倉庫、ライセンシーの倉庫、それともサードパーティの物流（3PL）パートナーの配送センターなのかをはっきりさせておきましょう。

理想的な取り決めはシンプルです。たとえば「私たちは、あなたにX個の商品をYの場所に発送します。」といった形です。輸入条件や仕様、細かな要件を含めると、プロセスが非常に複雑になることがあります。特に、自社でフルフィルメント（受注から出荷までの一連の業務）を担う場合は、あらかじめ責任範囲を明確にしておくことが欠かせません。

終了条項を含める

すべての契約には、次の内容を定めた終了条項が必要です。

• ライセンス契約が終了するタイミング
• どちらの当事者が契約を早期に終了できるか
• 契約終了に必要な通知

さらに、ブランドライセンス契約が終了後に自動更新されるかどうか、その場合の条件も明記しておきましょう。たとえば、ライセンシーと2年契約を結ぶ場合、契約が自動的に更新される際に、ロイヤリティ率が全ライセンス製品の売上の10％から12％に引き上げられる、という条項を加えることができます。

ライセンス契約の例

ウォルト・ディズニー・カンパニー

ディズニーは、すべてのTシャツやコーヒーマグを自社で製造しているわけではありません。1933年に最初のライセンス契約を結んで以来、何千もの企業がディズニーと契約を結び、キャラクター、シリーズ名、音楽、その他の商標を使用する権利を得てきました。これらの企業が、製品の製造や生産の詳細を担っています。

こうしたライセンス契約があるからこそ、ディズニーは世界中のあらゆる場所で目にする存在となっています。ディズニーは世界最大のライセンサーであり、ライセンシーとの契約および自社による直販を通じて、2022年には617億ドル（約9兆2,550億円）を売り上げました。

Shopifyの販売者であるA Birthday Placeは、このブランドライセンスの機会を活かし、自社サイトで『アナと雪の女王（Frozen）』ブランドのパーティー用品を販売しています。同様に、Sun-Stachesも自社の『アナと雪の女王』ライセンス製品を展開し、卸売を通じて小売店に販売しています。

Netflix

Netflixは、世界最大のストリーミングプラットフォームであり、7,700万人以上の顧客がオンデマンド型コンテンツライブラリへのアクセスのために利用料金を支払っています。自社制作のシリーズや映画を展開するNetflixは、複数のサブブランドや作品ごとに熱心なファン層を築いています。

Shopifyの販売者であるFugitive Toysも、このブランドライセンスの機会を活かしており、ウェブサイトやカリフォルニアの店舗で複数のライセンス製品を販売しています。その中には、『ストレンジャー・シングス』のフィギュアも含まれています。

Fugitive ToysはNetflixとのブランドライセンスにとどまらず、A Birthday PlaceやSun-Stachesと同様に、ディズニーやポケモンなど他の人気ブランドからもライセンスを取得しています。

Sweets & Geeks

Sweets & Geeksは、ポップカルチャーにインスパイアされたキャンディ、アパレル、ゲーム、ノベルティグッズを販売するShopifyの販売者です。最新のトレンドを取り入れ、製品への関心を高めるために、複数のブランドライセンスを活用しています。同社は、ウェブサイトや実店舗、さらにはイベント出店などを通じて、これらのライセンス商品を販売しています。

そのブランドライセンスは多岐にわたり、AirHeads、NFLチーム、ビートルズ、『カタンの開拓者たち』などが含まれます。これにより、Sweets & Geeksは常に時流に合った魅力的な製品を顧客に提供することができています。

ストアにおけるブランドライセンスの活用

ミッキーマウスのような有名キャラクターを持っていなくても、ブランドライセンスに関わることは可能です。知的財産を商業利用のために共有することは、ライセンシーとしてもライセンサーとしても、どのブランドにとっても有望な選択肢となり得ます。

ライセンス契約を確実で信頼性の高いものにするために、次のポイントを押さえておきましょう。財務的なリターンと品質保証の仕組みを明確に定義し、ライセンシーがあなたの知的財産をどのように使用できるかについて明確な制限を設けることが大切です。特に、自社のブランドアイデンティティが相手ブランドとどのように結び付くかを慎重に検討する必要があります。

すべてを自分で管理するのは大変に思えるかもしれませんが、ブランドライセンスの専門弁護士に依頼すれば、契約内容が抜け漏れのない堅実なものになるよう支援してくれます。