マーケットプレイスの歴史は、実はとても古いのです。人同士でモノの取引が始まって以降、それはあらゆる文化において存在しています。
今日では、電子商取引のグローバル化により、商品の販売と消費が民主化されました。それにより、マーケットはオンラインでも存在しています。特に小規模ビジネスにとって、これは大きな変化です。ハンドメイド製品を売るために、もはや倉庫や物流コーディネーター、さらには物理的な店舗を持つことなく、世界的に認知されるブランドを築くことが可能になりました。
数多くのオンラインマーケットプレイスが存在する中で、特に人気なのが、Amazon HandmadeとEtsyです。
Etsyとは?
Etsyは、世界中のビンテージおよび手作り商品を扱うオンラインマーケットプレイスです。もともとは、2005年にブルックリンで、小さな店舗として設立されました。現在では、1億点以上の商品の販売が行われるグローバルなオンラインプラットフォームへと成長しました。2024年の時点で、900万人の出品者と9600万人以上のアクティブな購入者がいます。
成長を続ける中でも、Etsyはコミュニティに根ざしたアイデンティティを維持しています。2030年までに温室効果ガスの排出量を50%削減することを目指し、Etsy Uplift Fundを通じて経済的に困難な状況にある作り手を支援し、さらには歴史的に疎外されたコミュニティから誕生する個性的な製品の販売を促進しています。
Etsyでの販売の利点と欠点
Etsyでの販売のメリットを評価するために、利点と欠点をじっくりと見ていきたいと思います。
Etsyでの販売の利点
- 低いスタートアップ費用:Etsyでは手数料が低いのが魅力。Etsyショップの開設に発生するのは、15ドル(約2200円)のみです。また、販売商品ごとに0.20ドル(約30円)のリスティング手数料が発生し、リスティングの有効期間は4ヶ月で、自動的に更新されます(オプトアウトした場合は除く)。販売手数料には、商品の総額の6.5%の取引手数料も含まれます。さらに、配送および決済処理手数料が発生する場合もあります。
- 分析とカスタムオプション:Etsyの標準プランでは、ショップへのトラフィック量や訪問者がどのようにショップにたどり着いたかを表示するStatsページを利用できます。また、Etsy Plusという追加の有料プランもあり、バナーや特集リスティング、オファー、再入荷リクエストなどでEtsyストアの外観をカスタマイズできます。
- 柔軟な広告プラン:Etsyでは、個々の出品者がEtsyプラットフォームを通じて、サイト内およびサイト外の広告を購入できます。Etsyの内部広告スペースは自動入札システムを使用して配置されます。出品者は日々の広告予算を設定し、Etsyはこれらの数字を使用して特定の製品カテゴリーや検索用語の広告スペースを「オークション」します。Etsyのサイト外広告は、クリック課金(PPC)モデルに基づいており、広告がクリックされ、クリックしたユーザーが出品者のショップで30日以内に注文した場合のみ料金が発生します。Etsy広告の手数料は、過去1年間にショップが1万ドル(約150万円)未満の売上を上げた場合、取引総額の15%です。それ以上の売上があった場合は12%です。
Etsyでの販売の欠点
- 継続的な手数料:Etsyでは、初期費用は抑えられますが、リスティング手数料が4ヶ月ごとに発生することが、デメリットかもしれません。例えば、100件のリスティングを持つ出品者の場合、コストは20ドル(約3000円)です。これらのリスティングが4ヶ月以内に売れなかった場合、同じリスティングに対してさらに20ドル(約3000円)が発生します。これにより、多くのリスティングが必要な商品タイプの出品者にとっては高額になる可能性があります。販売収益がリスティングコストを上回らない場合、Etsyストア運営により損失を出す恐れもあります。
- すべての種類の商品が販売できるわけではない:Etsyでは、ビンテージ商品、コレクターズアイテム、手作り商品などが出品されています。もしあなたの商品がこれらのカテゴリーに該当しない場合、Etsyでの販売は許可されず、該当しないリスティングはフラグが立てられ削除される可能性があります。
- Etsyはフルフィルメントサービスを提供していない:Etsyショップのオーナーは、自分自身で配送の物流を管理しなければなりません。Etsyは割引価格で印刷可能なラベルを提供していますが、それでも多くの印刷、梱包、テーピングが必要であり、または自分自身でサードパーティの配送業者を見つけて管理する必要があります。
Amazon Handmadeとは?
Amazonは現在、米国でのオンライン小売業者のリーダー的存在です。2023年の年間純売上高は5740億ドル(約86兆1000億円)を超え、訪問者数は毎月25億人以上にのぼります。
2015年、Amazonは高品質の手作り商品を販売する小規模ビジネス向けに、Amazon Handmadeという小規模なマーケットを立ち上げました。AmazonはAmazon Handmadeの総売上や参加している出品者の数を公表していませんが、2020年9月には、マーケットの販売者のうち、100人以上の年間売上が100万ドル(約1億5,000万円)を超えたと報告しています。
Amazon Handmadeでの販売の利点と欠点
以下は、Amazon Handmadeでの販売の利点と欠点です。
Amazon Handmadeでの販売の利点
- 巨大な潜在的リーチ:Amazonは米国で最も訪問されるサイトの一つです。Amazon Handmadeの商品は、より大きなAmazonの電子商取引サイトに統合されているため、他のプラットフォームよりも広範なグローバルオーディエンスにアプローチできます。
- 無料のプロフェッショナルプラン:Amazonマーケットプレイスは、個人プランとプロフェッショナルプランを提供しており、プロフェッショナルプランの出品者は月額39.99ドル(約6000円)の定額料金を支払い、個別の注文に対して販売手数料がかかります。新しい出品者は、Amazon Handmadeに承認されると、プロフェッショナルプランの特典を無料で受けられ、すべての販売に対して15%の取引手数料が課されます。
- リスティング手数料がない:Amazonでは商品リスティング手数料は発生しません。販売があった場合に料金が発生します。
Amazon Handmadeでの販売の欠点
- Amazonが自社の出品者と競合する。Amazonは自社ブランドを多数持ち、出品者が提供する商品と並行して販売しているため、小規模ビジネスは世界最大のオンライン小売企業と直接競争することになります。
- 販売手数料が高い。Amazon Handmadeの出品者は、Amazonのプロフェッショナル販売プランを無料で受けられますが、各販売に課される15%の販売手数料は、多くの他のマーケットプレイスでの手数料よりも高めの設定です。
さらに読む: Amazonへ出店すべき?そのメリットとデメリットとは
EtsyとAmazon Handmadeの比較
AmazonとEtsyは、大規模なオーディエンスにリーチし、売り上げをあげるためのシンプルで安全なプラットフォームです。ビジネスライセンスやコーディングスキルは必要ありません。両者の大きな違いは、手数料構造、サポートサービス、スタートアップ時間です。
Table Format
| 共通点 | 相違点 | |
|---|---|---|
| 一般的なウェブサイトとユーザーインターフェース | どちらも直感的で使いやすく、設定が簡単。 | Amazonはリスティング手数料がない。Etsyは継続的な手数料がある。 |
| 提供されるカスタム商品 | 出品者は優先リスティングのために支払うことも可能。 | Etsyはサイト外広告を提供。Amazonは提供なし。 |
| リスティングおよび販売手数料 | どちらも販売額に基づいて手数料が発生。 | Amazon: リスティング手数料なし。Etsy: 継続的なリスティング手数料あり。 |
| 商品カテゴリーの整理 | いずれもトップレベルの商品カテゴリーを特徴とする。 | Amazonには「手作り電子機器」などのユニークなカテゴリーを提供。 |
| サインアッププロセス | どちらも銀行情報と個人情報が必要。 | Amazonは税情報と政府発行のIDが必要。 |
| 支払いプロセス | どちらも出品者への自動直接入金に対応。 | Amazonは隔週払い。 Etsyは柔軟なスケジュールに対応。 |
| フルフィルメントサービス | どちらも出品者向けに無料配送オプションを提供。 | Amazonは商品を倉庫に保管。Etsyは保管未対応。 |
一般的なウェブサイトとユーザーインターフェース
- 共通点: Amazon HandmadeとEtsyは、出品者と購入者の両方にとって直感的で使いやすいように設計されています。どちらのプラットフォームも、ウェブ開発の知識がなくてもオンラインストアを簡単に設定でき、店舗ページ(「ストア」)を作成・カスタマイズし、商品リスティングを検索結果に含めることができます。また、両方ともモバイルアプリと、注文や販売情報を追跡するプロフェッショナル出品者ダッシュボードを提供しています。
- 相違点: Amazonは商品リスティングは無料ですが、Etsyでは手数料が発生します。これらのリスティング手数料は4ヶ月ごとに発生します。さらに、EtsyとAmazon Handmadeは、カテゴリーや価格帯に関係なく、販売手数料を一律で差し引きます。Etsyの場合、これは総販売価格の6.5%に加え、決済処理手数料がかかります。Amazon Handmadeの場合、販売手数料は総販売価格の15%です。
提供されるカスタム商品
- 共通点: Amazon HandmadeとEtsyのいずれも、追加料金を支払うことで優先リスティングに対応しています。
- 相違点: Etsyは、年間売上が1万ドル(約150万円)未満の出品者にオプションのサイト外広告を提供していますが、Amazonはサイト外広告を提供していません。
リスティングおよび販売手数料
- 共通点: Amazon HandmadeとEtsyは、どちらも総販売額の割合として計算される販売手数料を課します。
- 相違点: Amazonは商品リスティング手数料を課さないのに対し、Etsyはリスティング手数料を課します。これらのリスティング手数料は4ヶ月ごとに発生します。さらに、EtsyとAmazon Handmadeは、カテゴリーや価格帯に関係なく、販売手数料を一律で差し引きます。Etsyの場合、これは総販売価格の6.5%に加え、3.5%と25セントの決済処理手数料がかかり、Amazon Handmadeの場合、紹介手数料は総販売価格の15%です。
商品カテゴリーの整理
- 共通点: 両方の出品者は、アイテムをトップレベルの商品カテゴリーとサブカテゴリーに整理します。
- 相違点: Amazon HandmadeとEtsyは、手作り商品を展示するために設計されたトップレベルの商品カテゴリーを特徴としています。例えば、Etsyには「ペーパーとパーティー用品」というトップレベルのカテゴリーがあり、「結婚式」、「バス&ビューティー」、「クラフト用品&ツール」などもあります。Amazon Handmadeの商品カテゴリーも同様にクラフトやライフスタイルに焦点を当てていますが、「手作りデジタルアクセサリー」や「手作りスポーツ&アウトドア」などのカテゴリーなど、独自のものもあります。
サインアッププロセス
- 共通点: Amazon HandmadeとEtsyの両方では、ショップ開設のために銀行情報と個人情報が求められます。
- 相違点: Amazonでは、税務情報、国際的に課金可能なクレジットカード、電話番号、政府発行のIDも必要です。一方、Etsyのショップ承認は即時です。Amazonでの手作り商品の出品者になるには、Etsyよりも厳格な申請プロセスが必要です。
支払いプロセス
- 共通点: どちらのサイトも、ユーザーフレンドリーな自動直接入金を支払いオプションとして提供しています。
- 相違点: Etsyは出品者のEtsyアカウントを通じて支払いを行いますが、Amazonは出品者の口座に直接入金します。支払いスケジュールも異なり、Amazonは出品者に隔週で支払い、Etsyはデフォルトで週次の支払いスケジュールを提供しますが、日次、週次、または月次払いにも対応しています。
フルフィルメントサービス
- 共通点: 両方とも無料配送オプションを提供し、出品者が自分の配送料金や方法を選択できるようにしています。
- 相違点: Amazonは「Fulfillment by Amazon(FBA)」プログラムを提供しており、出品者は自分の商品をAmazonの倉庫に送って保管します。購入が行われると、Amazonがフルフィルメントの物流を担当します。Etsyは出品者に割引価格の配送ラベルを提供しますが、商品を倉庫に保管したり、出品者のために配送を管理したりはしません。
手作り商品向けのオンラインマーケットプレイスの選択
規模、ユーザー層、手数料構造が異なるものの、Amazon HandmadeとEtsyはどちらも、世界中の何百万ものオーディエンスにリーチできる強力なオンラインマーケットプレイスです。
どちらを選ぶかは、ビジネスのターゲットオーディエンスやビジネスモデルによります。比較的低価格帯の商品を大量に販売するのであれば、フルフィルメント支援と無料の商品リスティングを提供するAmazon Handmadeが適しています。一方で、リスティングが少なく、高価格帯の商品を販売するのであれば、個別取引あたりの割合コストが低いEtsyが向いているかもしれません。商品リスティングに対して支払う0.20ドル(約30円)の四半期ごとのコストを補う可能性が高いからです。
Amazon Handmadeでの販売とEtsyでの販売のどちらが適しているかまだ判断できない場合は、いくつかのシナリオでシュミレーションし、どちらのプラットフォームが向いているかを見極めてください。これまで商品に注いできた労力、創造性、愛情を、今こそ、世界に向けて発信しましょう。
Amazon HandmadeとEtsyに関するFAQ
Amazon HandmadeはEtsyより安いですか?
いいえ、Amazon HandmadeとEtsyは競争力のある価格を提供しているため、商品の種類や出品者によって、どちらかが高くなることもあります。
EtsyとAmazonのどちらが良いですか?
最終的には個人の好みの問題になります。Etsyは、手作りやビンテージ商品をより厳選したセレクションにより提供しており、Amazonは広範な商品を提供しています。販売したい商品によって、どちらが向いているか見極めてください。
Amazon Handmadeは利益を上げられますか?
はい、Amazon Handmadeは利益を上げることができます。このプラットフォームでは、巨大な顧客基盤にリーチでき、月額出品者手数料がないため、スキルを収益化したい起業家や手作り作家にとってメリットがあります。さらに、Amazonは出品者がビジネスを最適化するためのツール(分析、広告、プロモーション機会など)を提供しています。
手作り商品を販売するのに最適なサイトはどれですか?
Etsyは、手作り商品をオンラインで販売するためのプラットフォームとして知られています。使いやすく、ショップを迅速かつ簡単に開設できます。他には、Shopify、eBay、Storenvy、BigCartelなどがあります。





